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2014年12月26日号 vol.285
気になる山口 ここが知りたい!!

平成27(2015)年のユネスコ世界文化遺産登録を目指す「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」。その構成資産は全国8県11市に23あり、山口県にはそのうち5カ所があります。世界文化遺産登録推進事業を担当する教育庁社会教育・文化財課の中尾誠司(なかお せいじ)さんにインタビューしました。

ちょるる

世界文化遺産登録推進事業

まずは、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の世界文化遺産としての価値について教えてください。

中尾さん明治期の日本の近代化の速度は、諸外国に比べてすさまじいものでした。1850 年代から 1910 年の約半世紀で造船、製鉄・製鋼、石炭といった重工業分野で西洋技術を取り入れ、近代化を成し遂げたプロセスは、世界史的にも例がないものです。古くから日本と海外を結ぶ窓口として発展してきた九州・山口は、地理的特性もあって、その飛躍的な発展の大きな原動力となりました。既に失われたものも多い産業遺産ですが、この地域には、比較的よく残っているんですよ。

山口県の構成資産は、松下村塾(しょうかそんじゅく)、萩城下町、萩反射炉、恵美須ケ鼻(えびすがはな)造船所跡、大板山(おおいたやま)たたら製鉄遺跡の5カ所で、いずれも萩市にあるんですね。

中尾さんええ。幕末・維新期に数多くの優れた人材を輩出した松下村塾や城下町の景観を今に伝える萩城下町は、ご存じの方も多いと思います。道の駅「萩しーまーと」の近くにある萩反射炉は、西洋式の鉄製大砲鋳造を目指した萩藩が安政3(1856)年に試作的に建設した金属溶解炉です。反射炉の操業に成功していた佐賀藩に大工棟梁(とうりょう)を派遣し、彼が持ち帰った見取り図を基に造ったそうです。こうした反射炉は全国にあったのですが、今は山口県と静岡県に2カ所しか残ってないんですよ。


松下村塾の写真松下村塾

萩城下町の写真萩城下町

萩反射炉の写真萩反射炉


それは貴重ですね! 恵美須ケ鼻造船所跡は、萩藩初の洋式軍艦「丙辰丸(へいしんまる)」が建造された場所ですね。以前、山口きらめーるで紹介したことがあります。

恵美須ケ鼻造船所跡の写真恵美須ケ鼻造船所跡

中尾さんええ。ここは幕府の要請や萩藩士・桂小五郎(かつら こごろう)の意見により萩藩が開いた造船所でした。安政3(1856)年、洋式帆船の建造に携わった伊豆の戸田(へだ)村(現在の静岡県沼津市)の船大工を招いてこの造船所が開かれ、同じ年の12月、丙辰丸が進水しています。近代化へのスピード感がわかりますよね。萩反射炉から近いですから、ぜひ行ってみてください。


恵美須ケ鼻造船所跡の、あの石組みの防波堤が、パワースポットにさえ思えてきました。大板山たたら製鉄遺跡は、どんな役割を果たしたのですか?

大板山たたら製鉄遺跡の写真大板山たたら製鉄遺跡

中尾さんここは、丙辰丸を建造する際の船くぎなどの原料鉄を供給した施設でした。「たたら製鉄」というのは、砂鉄と木炭を炉に入れ、ふいごで空気を送る日本の伝統的な製鉄方法ですから、洋式帆船は、西洋と日本の技術の融合で建造されたんですね。萩市を訪れるときは、ぜひ世界遺産登録の構成資産となっている5カ所も訪れてみてくださいね。



「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」山口県世界遺産シンポジウムin萩の写真

平成26(2014)年10月21日、「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」山口県世界遺産シンポジウムin萩が開催されました。

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