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2014年12月12日号 vol.284
やまぐち幕末維新寄り道紀行

誕生地や旧宅地、寺社に石碑に記念館。山口県には、幕末の志士ゆかりの地がたくさん。
歴史好きのあなたに贈る、憧れの聖地から行く寄り道企画!
今回は、萩市浜崎エリアで寄り道! ここは、江戸時代、城下町・萩を経済面で支えた港町。萩循環まぁーるバス(東回りコース)の「御船倉(おふなぐら)入口」バス停で下車すると、徒歩圏内に幕末維新関連の史跡がたくさんあります。萩観光ガイド「浜崎しっちょる会」の方のご案内で、幕末に大きな役割を果たした人々や萩藩にまつわる史跡へ、さぁ! 行ってみましょう!
泉福寺(せんぷくじ)は、幕末の思想家・教育者である吉田松陰(よしだ しょういん)の菩提寺(ぼだいじ)で、位牌(いはい)が安置されています。お寺の方に声を掛け、本堂に入ると吉田家の家系図が。平成27(2015)年大河ドラマに登場する松陰の妹・文(ふみ。後の楫取美和子(かとり みわこ))やその夫・楫取素彦(かとり もとひこ)などとの家族関係もよく分かります。
【関連リンク】:泉福寺(萩市観光協会公式サイト)
泉福寺を後にして、早速いろいろ寄り道します。萩の商人・梅屋七兵衛(うめや しちべえ)は、幕末、藩から鉄砲1,000丁購入の密命を受け、長崎へ赴いた一人です。幕府と対立する長州が洋式の武器を手に入れるには密輸しかなく、その苦労は並大抵ではありませんでした。最初の商談は価格が折り合わず、別の商人と契約したところ、最初の商談相手が恨んで長崎奉行に密告。七兵衛は拘束されますが、何とか上海に逃れて使命を果たしました。浜崎には、七兵衛が晩年暮らした旧宅が残っています。
【関連リンク】:幕末の萩の商人 梅屋七兵衛(おもしろ山口学 2009年4月24日Vol.164)
浜崎の朝鮮通詞(つうじ。通訳のこと)の家に生まれた中嶋治平(なかしま じへい)は、オランダ語や英語などを学ぶため長崎へ留学し、そこでパンやガラスの製造方法も学びました。治平が記したパンのレシピにより、松下村塾の塾生でもある商人の大賀大眉(おおが たいび)が焼いたパンは「備急餅(びきゅうもち)」と名付けられました。幕末の長州には、パンがあったんですね!
萩のガラスは、朝廷への献上品などとして珍重されました。幕末に活躍した周布政之助(すふ まさのすけ)や大村益次郎(おおむら ますじろう)、高杉晋作(たかすぎ しんさく)が大切にしていたグラスの復刻版は、お土産品になっています。
【関連リンク】:萩のガラス(おもしろ山口学 2007年2月9日Vol.111)
藩主の御座船(ござぶね)の格納庫「御船倉」へやって来ました。現在は1棟だけですが、江戸時代には4棟あったそうです。「萩城を築城した時に余った石を使ったそうですよ」とガイドさん。大きな石には、ノミの跡が生々しく残っています。内部を見学希望の方はぜひ「浜崎しっちょる会」に事前予約を!(団体1,000円)
【関連リンク】:旧萩藩御船倉(萩市観光協会公式サイト)
江戸時代の町家(まちや)をはじめとする伝統的建造物が数多く残る浜崎は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。虫籠窓(むしこまど)や、蔀戸(しとみど)、武家屋敷とは違った「見世(みせ) (店)」の工夫がある町家があちこちに見られます。幕末が身近に感じられる浜崎で、あなたも寄り道してみませんか?
- 【寄り道グルメ情報】
- 毎年5月、町家や寺社がそれぞれの自慢の品々を展示するイベント「浜崎伝建おたから博物館」が開催されます。その開催日には、浜崎にある卸売魚市場で、萩自慢の海の幸を使った「雑魚場(ざこば)定食」や萩市見島(みしま)の名物「ウニメシ」などを堪能できます。

- 萩市浜崎エリア
- 所在地:
- 萩市大字浜崎町周辺
- アクセス:
- 東萩駅から徒歩約15分
(駅から萩橋を渡り右折。松本川沿いを進む) - 萩循環まぁーるバス(東回りコース)「御船倉入口」バス停下車
- 萩博物館から徒歩約15分
- 関連リンク:
- 萩市内の交通(萩市観光協会公式サイト)
- 萩観光ガイド(萩市観光協会公式サイト)
- 浜崎伝統的建造物群保存地区(萩市観光協会公式サイト)
- 浜崎エリアのマップをダウンロードできます。

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