ここから本文

2013年10月25日号 vol.260
気になる山口 ここが知りたい!!

山口県では、輝く、夢あふれる山口県の実現に向けて、さまざまな取り組みを行っています。その中の一つ「雪舟ウィーク」について、県立美術館専門学芸員の福田善子(ふくだ よしこ)さんにインタビューしました。

ちょるる

雪舟ウィーク

雪舟(せっしゅう)といえば、「禅寺で修行中の子ども時代、ご住職に叱られて柱に縛られ、こぼれた涙で床にネズミの絵を描いた。足で描いたその絵が本物と見まごうばかりに上手だった」という逸話が有名ですよね!

福田さん岡山の宝福寺(ほうふくじ)が舞台のお話ですね。雪舟は室町時代に活躍した画僧で、山口での活動の後、中国(明)に渡り、当時最先端だった絵画技法を学んで帰国した人なんです。この留学で「天童第一座」という名誉ある称号をもらい、それを誇らしげに作品にサインしているんですよ。西国一の勢力を誇る守護大名・大内氏のもとにいたから、この留学もかなったわけですね。「雪舟」と名乗り始めたのは、山口という説もあり、帰国後は、晩年まで山口を拠点に活動したんですよ。

はっ! …ってことは、まさか雪舟の水墨画の風景は、山口の風景!?

福田さん残念ながら、雪舟の絵の多くは実際の風景ではなくて、中国宋元時代の画家の絵をお手本にアレンジしたものなんです。当時は、権力者から「こういう絵を描いて」と絵の注文を受けて、お手本をアレンジして表現するんです。だから、どうアレンジするかに画家のセンスや個性がにじみ出るんですけど、雪舟は、画面を作り上げる構成力に優れていて人気だったんですね。例えば、国宝「四季山水図(しきさんすいず)(山水長巻)」(毛利博物館蔵)では、16メートルに及ぶ絵巻にメリハリを出すため、アクセントとなる岩は、ガッと濃い色で引き締めたりもしている。お手本の風景を配しつつ、絵の中に人々のにぎわいを描き込んだり、四季を表現したりしながら、全体として調和のとれた絵に仕上げるんです。画聖・雪舟というと、「基本に忠実に道を究めた人」というイメージかもしれませんが、独自の境地を開いた人なんです。

むむっ!だんだん雪舟や水墨画の面白さが見えてきましたよ♪

福田さん今回展示はないけれど、国宝「天橋立図(あまのはしだてず)」(京都国立博物館蔵)は、実際の風景を描いたものです。それまでは、水墨画の世界でそんな絵を描いた人はいなかった。「慧可断臂図(えかだんびず)」は、禅宗の初祖・達磨(だるま)大師に慧可という僧が弟子入りを願ったけれど許されず、自ら左腕を切り落として決意のほどを示したという場面ですが、この大胆な筆遣いの達磨さんの絵もそれまでの日本にはなかったものです。

ニューウェーブを起こした雪舟が活躍した山口は、雲谷派(うんこくは)(※1)の中心地とも言えますね。

福田さん狩野(かのう)派が全国を席巻する中でも、雪舟の流れを継承する雲谷派が幕末まで脈々と続いたのは山口ならでは。歴史に「もしも」はないけれど、毛利氏が関ケ原で勝利していれば、雲谷派が全国展開していたかも、ですよね。そんな歴史も感じながら鑑賞すると、より楽しいかもしれませんね。

11月1日(金曜日)からの「雪舟ウィーク」の見どころは?

福田さん県立美術館所蔵の重要文化財3点を一堂に見られるチャンスです。館内には、畳の展示室があり、11月2日(土曜日)は1日限定で、この畳の上に、毛利家旧蔵の伝雪舟筆「山水図屏風(さんすいずびょうぶ)」という貴重な作品を露出展示します。ガラス越しではないので、筆遣いなどを目の当たりに、お殿様の気分でご覧いただけますよ。また、五重塔で有名な瑠璃光寺(るりこうじ)には、雪舟が描いた2代目住職の肖像画が残っており、その掛け軸も特別公開します。雪舟研究会公開講座や学芸員によるギャラリートークも開催しますよ。

市内には、常栄寺(じょうえいじ)雪舟庭や雲谷庵(うんこくあん)など、雪舟ゆかりの地もありますから、ご来場の際は、併せてお楽しみいただきたいですよね。

福田さんええ。それに、県立美術館から徒歩圏内の「中市(なかいち)コミュニティーホール」では、「雪舟を学ぶ」と題して、絵手紙展や水墨画模写競技大会などのイベントも開催されます。また、防府市の毛利博物館で10月31日(木曜日)から開催の「特別展 国宝」では、さきほどお話した「四季山水図(山水長巻)」をご覧いただけますよ。こちらもぜひ足を運んで雪舟の魅力に触れてくださいね!

県立美術館を核に、地域を周遊するのも楽しそうですね!

福田さんええ、せっかく訪れてくださった方に、山口の魅力をより味わっていただくためにも、地域連携や施設連携って大事ですね。今年は、「やまぐちの美術館力」をテーマに、8月には県立萩美術館・浦上記念館で「浮世絵ウィーク」を、そして11月に県立美術館で「雪舟ウィーク」開催と、リレー開催しますが、連携は緒に就いたばかり。来年は、関係機関と今年以上に連携を深めて「美術館ウィーク」を実施したいと考えているんですよ。お楽しみに!


  • ※1 雪舟の流れをくむ日本画の流派。萩藩の御用絵師。本文※1へ戻る
関連リンク
県立美術館
おもしろ山口学「雪舟等楊(とうよう)の魅力」

県立美術館専門学芸員の福田善子さんの写真雪舟を継ぐ雲谷派が専門です。(福田さん)

畳の展示室の写真24畳あり、ゆっくり鑑賞できます。

四季山水図(山水長巻)の写真雪舟のアレンジ力をご覧あれ!

常栄寺雪舟庭の写真 雪舟が築いたとされる国の史跡・名勝指定「常栄寺庭園」(通称・雪舟庭)

雲谷庵(復元)の写真雪舟のアトリエ「雲谷庵」(復元)。ここで水墨画の世界に没頭!

ページの先頭へ戻る



ページの先頭へ