応援します!「山口ふるさと大使」

山口県では、県外で活躍中の本県にゆかりのある方に、「山口ふるさと大使」へ就任いただき、全国に向けた、さまざまな魅力のPRにご協力いただいています。毎月、第2週目の配信号で、「山口ふるさと大使」が語る山口県の魅力をご紹介します。

第18回 LLP(有限責任事業組合)ことばの杜(もり)代表:山根基世(やまね もとよ)さん

山根基世さん

1948(昭和23)年防府市生まれ。県立防府高等学校卒。1971(昭和46)年早稲田大学文学部を卒業後、NHK入局。主婦や働く女性を対象とした番組、美術番組、旅番組、ニュース、「ラジオ深夜便」、NHKスペシャル「人体」「映像の世紀」等、大型シリーズのナレーション多数を担当。2005(平成17)年、女性として初のアナウンス室長。2007(平成19)年、NHK退職後、LLPことばの杜を設立し、「子どもの話し言葉を育てる」ことを目的に、朗読会や読み聞かせ講座、教育教材の開発など、放送経験を生かした社会貢献活動を行っている。2000(平成12)年・放送文化基金賞、2009(平成21)年・徳川夢声(とくがわ むせい)市民賞受賞。東京大学客員准教授、女子美術大学講師等歴任。「ことばで『私』を育てる」他、著書多数。

ふるさと一言Q&A

Q.ふるさとの好きな場所は? 1つ挙げると防府天満宮。スケッチ大会に行ったり、牛替(うしかえ)神事(※1)のときに牛替券を引き換えに行ったり、夏の花火大会のときには浴衣を着て行ったり…。境内の春風楼(しゅんぷうろう)から見渡す市街の風景が、好きなんです。暑い中、汗をかいて上がっていって、両親と妹と一緒に夜景を眺めたときの記憶…、忘れられないですね。
Q.他県の方にお薦めの山口県の観光地は? 日本で最初にできた天満宮とされる防府天満宮から、周防(すおう)国分寺、美術番組で何度も作品を紹介させていただいた毛利博物館のある毛利邸(※2)、そして周防阿弥陀(あみだ)寺へ。ほぼ一直線で並んでいるので、ぜひ観光に訪れてほしいですね。
Q.帰郷すると食べたくなる物は? 昔から金太郎(※3)の煮付けと、エソ(※4)のすり身の団子汁が大好物なんです。防府の「天神鱧(はも)」のハモ鍋も、いいと思いますよ。とにかく私は食いしん坊なんです(笑)。
Q.山口県のおみやげといえば? かまぼこや、生外郎(なまういろう)、干しエビ。最近のお薦めは、萩の金太郎のオイル漬け。小さな瓶に入っていて、味も香りも良く、商品名にルージュ(※5)と入っているのもオシャレですね。

防府天満宮御誕辰祭(ごたんしんさい)
防府天満宮御誕辰祭
(ごたんしんさい)
天神鱧(はも)
天神鱧(はも)
金子(かねこ)みすゞ記念館
金子(かねこ)みすゞ記念館
青海島(おおみじま)
青海島(おおみじま)

県立防府高等学校が母校だそうですね?

山根さんはい。高校時代は、とにかく楽しかったですね。今も同窓会が盛んで結束力もあり、私は同窓会の東京支部の副会長を10年以上務めていました。同級生に会うと「あのころあなたは、背丈よりも高く本を積み上げて読書したいって言っていたわ」って。私は全然覚えていないんですが(笑)。

アナウンサーになりたいと思われたのは高校時代からですか?

山根さんいいえ、そのころは全然。でも、経済的に自立できる女性になりたいと思っていました。言葉の関係でいえば、中学生のとき、国語の先生が授業の合間に無駄話をよくされていたことを思い出しますね。私はそれがすごく好きで、特に映画「風と共に去りぬ」の話をされたことが、とても印象に残っているんですよ。NHKを退職後、ことばの杜を設立してから、教育の中で無駄話って、とても大事なものなんだなって感じるようになりましたね。

昨年の東日本大震災の後、CMで金子(かねこ)みすゞ(※6)の詩が感動を呼びました。旅番組で長門市の「金子みすゞ記念館」を訪ねられたり、朗読を行ったりされていますね?

山根さんはい。彼女の詩の言葉は易しいけれどそんな言葉の奥に深い哲学やゆるぎない世界観がある。万物に対する愛が感じられます。あの時代に20代で亡くなった人なのに、どうしてそんな哲学を持ち得たのか、私は不思議だったんです。長門市青海島(おおみじま)へ行ってびっくりしました。鯨のお墓や、お寺には鯨の過去帳(※7)まであるんですね。それを見たとき、ああ、そうだ、彼女の哲学は、この風土から影響を受けて生まれたんだと感じました。大漁の喜び。命あるものを奪うことへのざんげの思い、命あるものを食べることで生きていくという本質的な哀(かな)しみ。そうした矛盾を深く受け止め、意識してきた風土だったからこそ、彼女はその哲学を持つようになったんだと実感しました。

県内各地で今、「ふるさと紙芝居」などの活動が盛んに行われています。語ることを通して地域の魅力を伝える活動を行っている皆さんに、何かアドバイスをいただけませんか。

山根さんそうですね…。ことばの杜は、同じころに退職したアナウンサーが集まって設立したもので「子どもの言葉を育てること」が主目的なんです。子どもは、8歳ごろまでの言語形成期にどれだけ多様な言葉を聞くことができるかが大事です。ことばの杜では、読み語りや朗読を通して、日本語の美しいリズムや肉声のぬくもりを子どもたちに届けたいと思い、教育現場を訪ねて活動しています。暮らしの中で隣の人と心を通わすには、どういう言葉を使えばいいのか。そういう基本の言葉が今、子どもたちに育っていないんですね。ありがとう、ごめんなさいと言葉を交わすだけで人生は変わります。いい人間関係を築くには、日々の話し言葉が大切なんです。今、異なる年齢の人が一堂に会していた冠婚葬祭など地域のつながりがなくなり、子どもが大人の会話を聴いて、人の振る舞い方や言葉の使い方を覚える機会が減ってしまいました。ですから紙芝居などの活動に、地域社会で子どもの言葉を育てるという意識も加えていただけるといいですね。

なるほど!ありがとうございます!!最後に、山口ふるさと大使として、山口県への応援メッセージを一言お願いします。

山根さん他県の方から「山口県って、先輩が後輩を引き上げようとする風土がある」と言われたことがあります。山口県人のバックボーンには、吉田松陰(よしだ しょういん)(※8)の思いが流れているのかもしれませんね。松陰は幅広い人間愛を持っていた人だと私は思うんです。これからも行く先々で山口県のことを話して応援していきます。食べ物がおいしいことも。「山口県は駅の肉うどんだって、おいしいのよ!これが文化だ!」って(笑)。

  • ※1 秋の大祭に神牛役を務める牛をはじめ、多彩な景品が当たる抽選会。節分のときに行われる。
  • ※2 国の重要文化財「旧毛利家本邸」。通称毛利邸。
  • ※3 体長15センチメートルほどの白身魚ヒメジの山口県における通称。体表が赤いのが特徴。
  • ※4 かまぼこの原料となる白身魚。
  • ※5 金太郎がフランス料理で使われる魚「ルージュ」の近縁種であることから名付けられたもの。
  • ※6 長門市出身の童謡詩人(1903‐1930)。
  • ※7 捕獲した母子鯨などの戒名が記された帳面。
  • ※8 萩藩士。幕末、松下村塾(しょうかそんじゅく)を主宰。多くの志士を育てた。

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