応援します!「山口ふるさと大使」

山口県では、県外で活躍中の本県にゆかりのある方に、「山口ふるさと大使」へ就任いただき、全国に向けた、さまざまな魅力のPRにご協力いただいています。毎月、第2週目の配信号で、「山口ふるさと大使」が語る山口県の魅力をご紹介します。

第16回 作家:高樹のぶ子(たかぎ のぶこ)さん

高樹のぶ子さん

1946(昭和21)年防府市生まれ。県立防府高等学校を卒業後、上京。東京女子大学短期大学部英文学科を卒業後、出版社勤務を経て、1980(昭和55)年『その細き道』で作家デビュー。1984(昭和59)年『光抱く友よ』で芥川賞、1994(平成6)年『蔦燃(つたもえ)』で島清(しませ)恋愛文学賞、1995(平成7)年『水脈』で女流文学賞、1999(平成11)年『透光(とうこう)の樹』で谷崎潤一郎(たにざき じゅんいちろう)賞、2010(平成22)年『トモスイ』で川端康成(かわばた やすなり)文学賞を受賞。2001(平成13)年から芥川賞選考委員を務める。2009(平成21)年には紫綬褒章を受章。毎日新聞に連載された最新作『マルセル』の単行本が3月8日に刊行された。

ふるさと一言Q&A

Q.ふるさとの好きな場所は? 防府市にある毛利(もうり)邸の池の周り。実家の近くにあり、中学・高校時代、よく行っていたんです。日本の美しさをきちんととどめ、手入れが行き届いているところが好きですね。
Q.他県の方にお薦めの山口県の観光地は? 3歳ぐらいまで住んでいた山口市の一の坂川の辺り。桜がきれいな所ですし、小京都としての美しさを感じます。防府市の周防(すおう)国分寺、国衙(こくが)跡もいいですね。
Q.帰郷すると食べたくなる物は? 萩のナツミカン。そのお菓子も含め、他にはない味わいですね。萩・長門の一夜干しなどのお魚も好きです。
Q.山口県のおみやげといえば? 防府のかまぼこや、山口の外郎(ういろう)など。自信を持ってお薦めできるものです。

毛利邸
毛利邸
一の坂川の桜
一の坂川の桜
萩のナツミカン
萩のナツミカン
周防国分寺
周防国分寺

高樹さんがふるさとへの思いを込めて書かれた『マイマイ新子(しんこ)』を原作として、アニメ映画『マイマイ新子と千年の魔法』が制作され、2009(平成21)年に公開されました。主人公のマイマイ新子は「山口ふるさと特別大使」となり、その後も防府市では、アニメ映画の舞台となった地を訪ねるロケ地めぐり(※1)が行われるなど、さまざまな展開が続いています。それについていかがですか?

高樹さんすごくうれしいですね!あの時代(昭和30年代)の日本を懐かしく思う方が、たくさんおられるということですね。私の子ども時代が「新子ちゃん」という形を通して、生き続けてくれている気がします。私もこっそり1人で訪れてみたいですね。

高樹さんは幕末の長州生まれの高島北海(たかしま ほっかい)(※2)の足跡をたどる小説『HOKKAI(ほっかい)』で2006(平成18)年、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞されました。なぜ、その作品を書こうと思われたのですか。

高樹さん「長州藩閥」という言葉があるように、長州(現在の山口県)出身の政治家や官僚が明治維新以降の日本をつくっていったといえると思います。そうした政治家に目が行きがちですが、山口県には、北海のような文化的・芸術的な流れもありました。彼らは自分のことだけを考えるのではなく、広い視野で世界を見て、日本全体の未来を考え、その中で自分の領分を推し進めていった…。彼らのような政治家や芸術家が生まれたのは、萩の藩校「明倫館(めいりんかん)」の教育の力があったからではと思うんです。明治時代、北海はフランス北部の都市ナンシーへ官僚として行き、エミール・ガレ(※3)に出会い、臆することなく自分を打ち出し、日本より先進国だったフランスのアールヌーボー(※4)に影響を与えました。今もナンシーには、北海の記録が残されていますが、日本ではあまり知られておらず、忘れられていました。だから書きたいと思ったんです。

山口市(旧阿東町)出身の故・斯波四郎(しば しろう)さんが最初で、高樹さん、そして先日受賞された田中慎弥(たなか しんや)さんと、山口県出身の芥川賞受賞作家は3人になりました。それについて、どう思われますか?

高樹さんそれぞれ時代が違うので、1つにまとめて語るのは難しいですね。ふるさとといえば、同じ防府高校出身の伊集院静(いじゅういん しずか)さんは今、直木賞選考委員(高樹さんは芥川賞選考委員)で、同窓生2人が選考委員をしているというのは、他に例がないんじゃないかしら。それぞれ個性があり、統一された何かがあるわけではありませんが、強いて言えば、皆さん「ゴーイング・マイ・ウェイ(わが道を行く)」、私の場合は「強引にマイ・ウェイ」ですね(笑)。

なるほど!「強引にマイ・ウェイ」とは面白いですね!最後に、山口ふるさと大使として、山口県への応援メッセージを一言お願いします。

高樹さん山口県には、リーダー的なもの、そして新しいものと古いものの両方を大事にしていく県というイメージを持っています。山口県人は卑屈にならない、背筋がすっくと伸びた美しさ・精神性を持っていると思うんです。瑠璃光寺(るりこうじ)五重塔のように。これからも正義と美の両方を山口県の旗頭(はたがしら)として、進んでいってほしいですね。

  • ※1 「レンタサイクルで行く明治維新の地と『マイマイ新子と千年の魔法』ロケ地めぐり」防府地旅の会主催。7月25日(水曜日)と8月25日(土曜日)に「ディスカバー!長州ウォーク」の1つとして開催。
  • ※2 1850(嘉永3)年、萩藩医の次男として生まれ、明治政府の官吏となる。政府から派遣されたフランスでの留学中、ガラス工芸家のエミール・ガレに影響を与えた。退職後、50歳を過ぎてから日本画家となる。
  • ※3 エミール・ガレ(1846-1904)は、ガラス工芸家、陶器・家具のデザイナーとして活躍した。
  • ※4 フランス語で「新しい芸術」の意味。花や植物などの身近なモチーフや自由曲線の組み合わせなどが特徴。

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