2010年3月26日Vol.186山口県広報広聴課

おもしろ山口学

ジネンジョ栽培発祥の地・山口県!ウイルス病防除ワクチンの開発に成功

(左写真)ジネンジョの畑での栽培風景(右写真)ワクチン接種したジネンジョ(左写真)ジネンジョの畑での栽培風景
(右写真)ワクチン接種したジネンジョ

 山野に自生するツル性の植物、ジネンジョ(※1)。そのイモの部分が1メートルを超えるほど長くて高品質なものには、高値が付きます。しかし、自生しているものを見つけ、縦に土深く伸びたイモの部分を折れないよう掘り出すには、大変な労力が必要です。そうした苦労を解決する、畑でのジネンジョ栽培が今、全国に広まりつつあります。
 その畑でのジネンジョ栽培の発祥の地は山口県だということを、ご存じですか。土壌の条件などから従来は難しいとされた畑での栽培の開発に、柳井市の故 政田敏雄(まさだ としお)氏が1967(昭和42)年から取り組み、1995(平成7)年、斜めに埋めたパイプなどを使って栽培する方法を確立しました。現在では、柳井市や長門市、周南市など県内各地に贈答用ジネンジョの栽培が広まっています。
 しかし、昔からある植物の病気で、アブラムシが媒介するウイルス性の「モザイク病」が、栽培の広まりとともにジネンジョにも多発するようになりました。感染すると、人への影響はないものの、葉に濃淡でまだらなモザイク状の模様が出て、イモの品質や収穫量が低下します。そのため、県農林総合技術センターでは、ジネンジョの生産者からの要望で、2004(平成16)年から、病原性の弱いウイルスを人工的に感染させることでモザイク病への抵抗性を持たせるジネンジョ用ワクチンの選抜・改良に着手しました。その後、山口大学とも連携し、開発に成功。2009(平成21)年1月、そのワクチンを接種した「病気に強い自然薯」を県と山口大学が共同で特許出願しました。人に接種して感染症の予防に用いるワクチンと異なり、植物ワクチンは国内ではまだトマトやキュウリなど数品目でしか実用化されておらず、その開発は画期的といえます。
 さらに県では、2009(平成21)年3月、ワクチンを接種した「病気に強い自然薯」の種イモ(※2)を育てる生産者を公募して許諾契約を結び、現在モザイク病の多発を防ぐ取り組みを進めています。そうした高品質なジネンジョ作りとともに、ジネンジョを活用したそうめんやラーメンなどの加工品の開発も進み、県産ジネンジョの特産品化に向けた動きも始まっています。

  • ※1 栄養豊かで漢方薬の1つともされる。すりおろすと、粘りが非常に強いため、だしを加えるなどして食べる。
  • ※2 ジネンジョは本来、小さな球状の「むかご」から芽が出て成長する。しかし、それでは収穫まで時間がかかるため、イモの一部を種イモとして地中に埋めて育てていくことが多い。