2009年5月22日Vol.166 山口県広報広聴課

県庁職場訪問-ノブとゆかりのおじゃまします-

県下関水産振興局 [前編]

下関漁港(本港地区)

 下関市には、水産業の振興上、特に重要な漁港「特定第3種漁港」に指定されている下関漁港があります。下関漁港がどんなところか知りたくて、管理している県下関水産振興局におじゃまして、漁港市場課主査の中村圭吾(なかむら けいご)さんに話を聞きました!

[ノブ]全国に約3,000港ある漁港のうち、特定第3種漁港に指定されている漁港は、下関漁港を含めて13港しかないそうですね。

中村さん

[中村さん]はい。漁港は法律で、利用される範囲によって第1・2・3・4種漁港、特定第3種漁港に分けられています。そのうち、全国的に利用されるものが第3種漁港で、その中でも水産物の流通の拠点的な役割を担うなど、水産業の振興の上で特に重要なものが特定第3種漁港なんです。

[ノブ]北海道の漁船や沖縄の水産高校の実習船も寄港することもあるそうですね!ところで、下関漁港のある場所は、もともと海だったんですよね。

[中村さん]そうなんですよ。本州と九州を結ぶ「関門海底鉄道トンネル」が掘削された土で、下関と彦島との間の海峡・小瀬戸海峡を一部残して埋め立て、1942(昭和 17)年、下関漁港が完成しました。岸壁の長さ1,500メートル、水深5.5メートル、20万平方メートルの用地があり、当時「東洋一の近代漁港」とい われていたんですよ。その後も漁港設備を拡充。南氷洋捕鯨船をはじめ遠洋・沖合漁業の基地として栄え、1966(昭和41)年には28万5千トンもの「日 本一の水揚げ量」を誇りました。翌年には彦島に水産加工団地を有し、フグを主に水揚げする「南風泊(はえどまり)分港」を整備しています。

[ゆかり]現在の水揚げ量はどのくらいあるのですか?

[中村さん]残念なことに、水揚げ量は年々減少しています。平成20年の『全国主要漁港水揚げ順位』によれば、水揚げ量は約3万8千トンで全国主要32漁港の中で21 位です。しかし、高級魚のフグやアンコウなどが多いため、水揚げ金額では10位、キロ単価では5位となっているんですよ。

[ゆかり]水揚げ量が減少しているということですが、何か理由があるんでしょうか?

下関漁港(南風泊分港地区)

[中村さん]水産資源の減少や、これに伴う漁業生産者の減少、また、かつては九州沖合で漁獲された魚介類は下関漁港まで水揚げされ、ここで鮮魚専用貨物列車に積み換え て東京・大阪などへ運ばれていたんですが、交通網の発達により、九州で水揚げし、トラックや飛行機で東京・大阪などへ直送されるようになったことが大きい ですね。

[ノブ]それで漁港の敷地には、引き込み線や貨物駅の跡が残っているんですね。

[中村さん]はい。鮮魚専用貨物列車のための施設です。鮮魚専用列車は下関-大阪間は「ぎんりん号」の名称で1985(昭和60)年まで、下関-東京間は「とびうお号」の名称で1986(昭和61)年まで走っていたんですよ。

[ノブ]下関水産振興局では、漁港の活性化にも取り組んでいるんですよね。

下関おきそこロゴマーク

[中村さん]はい。県は水産業者とともに「下関漁港沖合底びき網漁業ブランド化協議会」を設立し、沖合底びき網漁業で下関漁港に水揚げする魚種全般(略称「下関おきそこ」)の消費拡大を促進するPR活動を展開しているんです。

[ゆかり]その取り組みで近年、有名になってきたのが「水揚げ量日本一」のアンコウですね!その創作料理も誕生しているとか。下関が日本一とは意外でした。

水揚げされたアンコウ

[中村さん]そうなんです。全国主要漁港のアンコウの水揚げ量を調べたところ、2002(平成14)年に427トンで下関漁港が全国一だったことが分かったんです。以 来ずっと日本一で、水揚げ量も増加し、2007(平成19)年には1,037トンにのぼりました。アンコウのほかにも、レンコダイ(キダイ)や高級魚のア カムツ、ミズガレイ(ムシガレイ)の消費拡大にも取り組み、昨年12月から今年3月まで「『下関おきそこ』フィッシュマイレージ・キャンペーン」を行いました。これは、キャンペーン協賛店でそれらの料理を食べてスタンプを集めた人に抽選で景品を贈るというもの。予想以上の反響があったんですよ!


[ゆかり]フグやアンコウに次ぐ新しい名物料理が誕生するといいですね!


県下関水産振興局 [後編]

下関漁港入口(下関水産振興局は下関漁港ビルの6階にあります)

 下関漁港の管理業務のほかに、県下関水産振興局のもう一つの大きな仕事である水産振興について、水産課主任の井上存夫(いのうえ のぶお)さんに聞きました!

[ノブ]下関水産振興局は、下関市と山陽小野田市を管轄※1として、水産振興も担当しているそうですね。管内では、朝市が盛んだとか?

井上さん

[井上さん]はい。管内にある山口県漁業協同組合の各支店では近年、朝市や直売所などが盛んに開設されています。今までは各支店が独自に取り組んできたのですが、今年3月、「新鮮やまぐちJF朝市等連携会議」を設立し、連携して旬の魚介類や朝市のイベント情報などを消費者の皆さんに発信していこうということになりました。

[ゆかり]朝市などは現在、何カ所にあるんですか?

県漁協長府支店日曜朝市の生マグロの解体実演販売の様子

[井上さん] 14カ所です。これは、漁業者自ら、捕れたての魚介類を消費者の皆さんに直接、販売しようというものなんです。これには、生産者価格の向上や魚食の普及、地産・地消の推進などの期待がかけられています。中でも、下関市にある「県漁協長府(ちょうふ)支店日曜朝市」は取り組みが早く、1994(平成6)年3月以来、毎週日曜日に開催し、15周年を迎えました。毎月最終日曜日の朝市では、生マグロの解体実演販売を行っていて、人気があるんですよ!

[ゆかり]えーっ、朝市で生マグロの解体実演販売?!それはすごいですね!!

県漁協二見支店女性部による全国青年・女性漁業者交流大会での発表の様子

[井上さん] はい。また、下関市豊北(ほうほく)町にある「県漁協二見(ふたみ)活魚販売所」では、地元の活魚を水槽で販売し、その場で活(い)け締め※2して消費者に渡しています。主に販売しているのは、一本釣り漁によるアジやヒラマサ、ヤズ。素潜り漁によるサザエやアワビもあります。昨年3月には、二見支店女性部が、販売所の立ち上げから今後の課題までを発表し、農林水産大臣賞を受賞しました。

[ノブ] 女性の皆さんも活発に活動されているんですね!

[井上さん] はい!また、当局では、県漁協各支店で行っている種苗※3の中間育成・放流の指導にも力を入れています。主に放流している種苗は、瀬戸内海側では、クルマエビやガザミ、ヒラメ、トラフグ、日本海側では、アワビやマダイ、カサゴ、ヒラメ、アカウニです。また、県水産研究センターでは高級魚であるキジハタの種苗生産も試験的に行っており、平成18年度から20年度にかけて、当局の管内6地区に約20,000尾の試験放流を行いました。アカアマダイについても今年1月、下関管内では初めて1,000尾の試験放流を行いました。

[ノブ] そのほか、藻場(もば)を守る取り組みも行っているそうですね?

ムラサキウニの身入れの研究

[井上さん]そうですね。近年、管内の漁場の一部で、アワビやサザエの餌となる海藻が減り、藻場の衰退が深刻化しています。その原因の一つとして、ムラサキウニの大量発生が考えられます。このような漁場で生育したムラサキウニは身入りが良くないため、地元の漁業者は、ムラサキウニを除去し、一部をカゴの中で蓄養して身入りを良くする有効利用などの研究も行っており、当局はそのような地元の活動を支援しています。

[ゆかり]そのほかにも力を入れている取り組みがありますか?

[井上さん]はい。漁業の担い手の育成です。漁村の振興のため、特に下関市内の県漁協各支店の青壮年部を取りまとめた連合会を結成して、「さかな祭り」や都市住民との交流などの活動を通じて地域活性化に取り組みたいと考えています。また、県の「ニューフィッシャー確保育成推進事業」による新規漁業就業者の育成も行っています。対象は18歳以上50歳未満の、研修後、独立して漁師になりたい方です。2年間の研修期間中は、研修費を支援します。ちなみに現在、下関市蓋井島(ふたおいじま)で1名の方が研修中です。

[ゆかり] それに関して、PRしたいことがありますか?

[井上さん]はい。5月30日(土曜日)に、「山口県漁業就業支援フェア」が山口市にあるJR新山口駅前の山口グランドホテルで開催されます。山口県で漁師になりたい方、ぜひお待ちしています!


  • ※1 山口県では、柳井、防府、萩各水産事務所および下関水産振興局が、各地の水産振興を担っている。
  • ※2 血抜きをし、鮮度を保つ方法。
  • ※3 人工的に卵をふ化させて育成した稚魚など。