2008年7月25日Vol.146 山口県広報広聴課

秋芳洞 
アキヨシミズムシ
秋吉台(あきよしだい)の地下水系は、2005年ラムサール条約湿地(※1)に登録された。これを機に秋吉台の地下世界は、世界中の研究者から大きな注目を集めるようになった。私はその陰で秋吉台の地下世界に魅せられて地底探検や研究を続けてきた若者たちのことを忘れることができない。彼らは長年、根気強く450にも達する洞窟(どうくつ)に入り、測量や水系、洞窟鉱物、動物化石、洞窟動物、人類とのかかわりに関する膨大な資料を収集し続けた。この資料の分析や考察から、秋吉台の地下水系の全貌が明らかになり、極めて価値の高いことが分かってきたのである。
若者たちは秋芳洞(あきよしどう)の水中洞窟約8キロメートルの空間を命がけで探った。彼らは別の洞窟でヤベオオツノシカ1頭分の化石を見つけ、日本ではじめて骨格復元を行った。また、秋芳洞の流れから、ホラアナゴカイ、アキヨシミズムシ、アキヨシミジンツボといった地下水性動物を発見した。アキヨシミジンツボ(学名 Akiyoshia uenoi Kuroda et Habe)は2ミリ程度の微少貝類で、新属新種だった。この地底に、大昔の地球上で栄えた一族がしぶとく生き残っていたのだ。
また、秋吉台の地下地形を詳細に調査した結果によると、地底に巨大な滝の存在が推定されている。帰水(かえりみず)(※2)の北側と南側では地下水のレベルが数十メートルの差があることが判明し、この差が巨大な滝の存在を予言しているのである。
地底探検で、私たちをわくわくさせるものは未知の巨大地底湖だ。その湖畔に立つと、天井から湖面に滴る水滴が奏でる澄んだ音色は、洞窟空間に反響して、静寂と暗闇の中に素晴らしい音の世界を創り出しているのではないだろうか。伝説では、この世を去った聖者たちの集う他界がここに存在するという。洞窟世界との出会い、皆さんも覗(のぞ)いてみたいと思いませんか。
※1
ラムサール条約と条約湿地(環境省ホームページ) ※2 秋吉台上にある、深さが200メートル近くある深いくぼ地。大雨が降ると、底に水がどんどんたまり深い池になりますが、雨がやむとすぐになくなるので一時湖とも呼ばれています。
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