コンテンツ2007年11月22日Vol.130 山口県広報広聴課

県庁職場訪問-ちえみとゆかりのおじゃまします-

県農林総合技術センター畜産技術部[前編]

畜産技術部 正門からの風景 県農林総合技術センター畜産技術部(旧畜産試験場)では、さまざまな試験研究などを行い、畜産の振興に取り組んでいます。その中には、全国から注目されている※1「山口型放牧」という肉用牛の耕作放棄地への放牧があります。畜産技術部がどんな所なのか知りたくて、山尾春行(やまお はるゆき)部長、放牧環境研究室の宗綱良治(むねつな よしじ)室長、惠本茂樹(えもと しげき)専門研究員の職場におじゃましました!
ゆかり
[ゆかり]草が生い茂った耕作放棄地を利用した「山口型放牧」。数カ月で草が牛に食べ尽くされてしまう。着想がいいと前からとても興味を持っていました。詳しく聞かせてください。
惠本さん、阿部さん、山尾さん、宗綱さん、松岡さん
[惠本さん]従来の放牧は、牧草のある専用の土地で行うものです。でも、山口型放牧は耕作されなくなった棚田などを放牧地として使おうというもので、未知への挑戦、全国初の取り組みだったんですよ。牛の飼育が低コストで楽にもなり、生産条件の不利な中山間地域が多い山口県に合ったものです。
ゆかり
[ゆかり]残念ですが、県内でも耕作放棄地って増えていますもんね。山口型放牧は県の事業として1989(平成元)年から行われているそうですね?
[宗綱さん]はい。そもそも、畜産技術部では昭和50年代から水田を転換した畑(転換畑)での放牧の研究を行っていました。従来は牧草地で栽培した牧草を人が刈り取って牛舎へ運ぶというもの。それを逆に、牛舎近くの牧草を植えた転換畑へ牛を連れて行って食べさせようと発想の転換をしたのです。
ノブ
[ノブ]転換畑の放牧から始まったんですね?
電牧
[宗綱さん]はい。牧草を植えた転換畑の一部を電牧※2で囲み、牛を放し、その場のいろいろな草を食べさせて栄養が偏らないようにし、その場の草がなくなったら柵を少しずつ動かしていくという方法を考案し、全国に発表しました。牛は好みの草から食べる習性があるので、広く囲うと栄養が偏ってしまいますから。でも、なかなか広まらなくて…。
[惠本さん]当時は、放牧の大きな問題として、ススキや野草の葉の裏などにいる、牛が貧血になる病気を媒介するダニがありました。ダニは温暖な西日本に多く生息していました。それが1986(昭和61)年ごろに、投与方法が簡単で、効果の高いダニの殺虫剤が開発され、それによって未利用地での放牧の可能性が高まりました。
[山尾さん]1989(平成元)年、畜産技術部で積み重ねてきた技術を生かしたモデル事業を開始しました。これにより、山口型放牧が動き始めます。そして次に、どこでも簡単に放牧できる方法を考えていこうとなりました。
ノブ
[ノブ]なるほど!ここでいよいよ耕作放棄地での、牛舎に連れ帰らない放牧に取り組むことになったわけですネ!それが進展した理由というと…?
ソーラー式電牧
[宗綱さん]低コストで手軽に設置できる「ソーラー(太陽光発電)式電牧」の普及があります。放牧地が簡単に設定できるようになりました。牛が飲む水さえ確保すればOK!また、後に設立された「山口型放牧研究会」の方などが実証結果をあちこちでPRしてくださったことも大きいですね。おかげで耕作放棄地での牛の「舌刈り」※3効果が広まって、畜産農家以外からも「牛を持たないけれどやってみたい」という人が次第に増えていったんです。
ノブ
[ノブ]そこで生まれたのが、牛を貸し出す「レンタカウ制度」ですね!
耕作放棄地に2頭1組で放牧される牛
[惠本さん]はい。これは妊娠した牛を2頭1組で数カ月間貸し出す制度です。現在はニーズが増えたため、畜産技術部のみならず、放牧牛バンクに登録した畜産農家からも貸し出しています。
ゆかり
[ゆかり]山口型放牧のメリットをまとめると…?
[宗綱さん]いつでも・どこでも・だれでも・簡単にできること。飼料代を抑え、低コストで牛を飼育できること。耕作放棄地の解消。ひいては、イノシシをはじめとした野生鳥獣害の軽減※4。ほかにもさまざまなメリットがあります。山口型放牧を取り入れた畜産振興によって、過疎化が進む集落も活性化し、それが棚田保全、国土保全にもつながって、みんなが笑顔になれるのではと思うんです。
ゆかり
[ゆかり]私もそう思います!牛のいる風景、きれいな棚田がある風景って心が和みますもんね。山口型放牧が全国にもっと広まるといいですね!!
※1 山口型放牧の技術研修や情報交換などを目的とした研究会「山口型放牧研究会」が2006(平成18)年度に社団法人中央畜産会の「畜産大賞」を受賞しています。
※2電牧 電気を通し、触れたら感電する牧場用の柵のこと。
※3舌刈り 耕作放棄地などの草を牛が食べること。牛には上前歯がなく、舌で草を巻き、下の歯で鎌のように削ぎ取ります。
※4野生鳥獣害の軽減 イノシシは耕作放棄地などをねぐらにして、周りの田んぼを荒らすので、耕作放棄地をなくすことなどにより、被害を軽減できると考えられています。現在、畜産技術部で現地実証試験の結果を取りまとめています。

県農林総合技術センター畜産技術部[後編]

畜産技術部 放牧地からの風景 この10月に開催された“和牛のオリンピック”「全国和牛能力共進会」で好成績を収めた山口県!そのような肉用牛の肉質改良や食品廃棄物リサイクル飼料など、「県農林総合技術センター畜産技術部」ではさまざまな研究に取り組んでいます。山尾春行(やまお はるゆき)部長、家畜改良研究室の松岡一仁(まつおか かずひと)室長、そして同センター企画情報室の安部康人(あべ やすと)調整監に話を伺いました。
ノブ
[ノブ]畜産技術部は、長い歴史があるそうですね?
県農林総合技術センター畜産技術部 本館棟
[安部さん]はい。昨年100周年を迎えたんですよ。そもそも、1906(明治39)年に「県種畜育成所」として開設されたのが始まりです。その後、1939(昭和14)年に開設した鶏の改良や試験を行う「県種鶏場」、1967(昭和42)年に開設した子牛を預かって育てる「県育成牧場」を統合し、昨年度まで「県畜産試験場」という組織でした。
今年4月、農林分野の鳥獣被害対策や食品加工など共通課題の研究や連携の強化を図るため、「県農業試験場」「県立農業大学校」「県林業指導センター」と統合されて「県農林総合技術センター」が設置されました。現在では、同センターの畜産技術部という位置付けです。
ノブ
[ノブ]種畜育成所は、どういう目的で設けられたものだったんですか?
[松岡さん]県下の種雄牛(たねおすうし)を円滑に供給するために設けられました。血統の良い種雄牛を育成し、肉質の良い肉用牛の繁殖を目指すものです。昔は、この種雄牛を、雌牛を飼う農家に貸し付けていました。現在では、畜産技術部の種雄牛から採取した精液を、社団法人山口県畜産振興協会を通じて県下の農家に供給し、人工授精させる仕組みになっています。
ゆかり
[ゆかり]肉用牛って、血統が大きくモノをいう世界だそうですね。
福美美
[松岡さん]はい。血統によって、精液の価格も大きく違うんですよ。消費者に好まれる、いい霜降り肉になりやすい肉用牛となるよう、畜産技術部は改良に力を入れているんです。毎年、県内の農家で飼われている雌牛約5000頭の中から、肉の量や質、子育て能力などが高い40頭を段階的に選抜します。それらに血統の良い雄牛を交配します。生まれた中から優秀な雄の子牛8頭を選抜し、畜産技術部へ連れ帰ってじっくり調査。最終的には1頭だけが、種雄牛として選び抜かれるんです。
ノブ
[ノブ]毎年、たった1頭しか選ばれないんですか?
[松岡さん]そうなんですよ。厳しい世界ですよ。結果はこの10月に、全国の優秀な和牛が5年に1度、一堂に会して優劣を競う「第9回全国和牛能力共進会」で出ています。平成10年生まれの種雄牛「東平福(ひがしひらふく)」、平成13年の「北次郎(きたじろう)」、平成15年の「福美美(ふくみみ)」、これらの子らが出品されました。共進会は9部門ありますが、そのうちの肉質を審査する1部門で福美美の子が「優等賞2席(全国第2位)」を受賞したんですよ!
ゆかり
[ゆかり]わーっ、おめでとうございます!!この結果は、山口県の和牛のブランドに大きな影響を与えそうですネ!
[松岡さん]ハイ!全国大会で名を知られたので、今後がとても期待されます。既に問い合わせもいろいろと来ているんですよ!
ノブ
[ノブ]養鶏・養豚などについても研究しておられるそうですね?
黒柏を改良して作出した地どり
[山尾さん]はい。養鶏では、山口県と島根県で昔から飼われていた「黒柏(くろかしわ)」を改良して、山口県産のオリジナル地どりのブランド造成に取り組んでいます。養豚では、食品廃棄物をリサイクルした飼料、エコフィードの研究などに取り組んでいます。
ゆかり
[ゆかり]そのエコフィードの取り組み、とても注目されていますネ!
[山尾さん]ハイ!全国に先駆けて2年前から、学校給食の食べ残しやコンビニ弁当の売れ残りなどの食品廃棄物を、豚の飼料とする研究に取り組んできました。人間の食品は油脂分が多く、豚の肉質に影響することが課題だったんですが、畜産技術部と県内企業との共同研究で、乾燥させて余分な油脂分を抜く技術を確立しました。実証試験の結果、良好な成績を得られ、県内の養豚組合で既に利用されているんですよ!
ゆかり
[ゆかり]トウモロコシなどの穀物飼料の価格が急騰している今、農家のコスト削減の面からもエコフィードがもっと活用されるといいですネ!
職場体験学習の受け入れ
[安部さん]畜産技術部では、消費者の皆さんに畜産について理解を深めてもらおうと公開セミナーを開催しているほか、見学や体験学習も受け入れています。ぜひお気軽にご連絡ください!

次回は、県立萩看護学校をご紹介します。お楽しみに。



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