コンテンツ2006年12月22日Vol.108 山口県広報広聴課

おもしろ山口学
山口フグ物語

【第1回】山口県生まれのフグ延縄

延縄
 フグといえば山口県。こう呼ばれる理由はさまざまですが、その一つにフグを獲る代表的な漁法「フグ延縄(はえなわ)」の現在のかたちが山口県で生まれたことが挙げられます。
 フグの中では、生きのいいトラフグが最高級品とされます。しかし、トラフグの活魚であっても傷があると価値は下がります。どうすれば高級食材のトラフグを最高の状態で獲り、生かしたまま港まで運べるか。それが漁師たちの悩みの種でした。
 そこで、フグを傷めず、効率よく漁獲する漁法として「延縄」が用いられました。これは長い一条の幹縄に一定間隔で何本もの枝縄を垂らし、その先に餌を付けた釣り針を取り付けて海へ沈め、魚を一尾ずつ釣り上げる漁法です。山口県の瀬戸内海側、トラフグの好漁場が広がる周南市粭島(すくもじま)では、江戸中期(18世紀)にフグ延縄がすでに用いられていたようです。
 フグにはエビ、カニ、貝類などの固い餌をかみ砕き、まるごと食べるための鋭い歯があります。1877(明治30)年ごろ、フグのその鋭い歯で縄をかみ切られないようにワイヤーを使った改良型のフグ延縄が生み出されました。考案したのは、粭島の漁師・高松伊予作(たかまつ いよさく)。彼はその功績によって、1922(大正11)年、平和記念東京博覧会で褒賞を授与されました。
 フグの性質をよく理解し、延縄をフグ用に改良し、輸送方法などに工夫を重ねた漁師たち。彼らのトラフグへ寄せる熱い思いが、「フグは山口県」という名声を高めてきたのです。

[参考文献]
ふぐの文化、青木義雄、成山堂書店(1999)
山口県漁業の歴史、有園眞琴、(社)日本資源保護協会(2002)

取材協力/県流通企画室 澁谷賢司(しぶたに けんじ)氏


【第2回】フグのまち下関の歴史と伝統の技「二枚引き」

ふぐ刺し
一番外側が二枚引きで、内側はすべて一枚引き
  フグの取扱高日本一の「南風泊(はえどまり)市場」を擁する下関。フグの本場として全国に知られるようになったのは、まず好漁場に近いこと、次に1888(明治21)年に全国に先駆けて山口県でフグが解禁されたことも理由に挙げられます。「大陸への窓口」として栄えた下関には政財界人などが数多く訪れ、フグ料理を堪能した彼らを通じて、評判は全国へ。同時に、素早く安全に「身欠き(※)」にする技や料理の技が磨かれていきました。
 そうした歴史があり、生きのいいフグが手に入る下関には、だからこそ生まれた伝統的な料理の技があります。それがフグ刺しの二枚引きです。フグの身には弾力があり、厚い刺し身にすると、かみ切りにくいため、薄く引きます。しかし、新鮮なフグは水分が多いため、朝、身欠きにしても夕方までに身が十分締まらず、薄く引けません。 そこで少し厚めに引いた身に、さらに包丁を入れて観音開きにする高度な技、二枚引きが生まれました。二枚引きは一度で引く一枚引きより薄く、幅が広く、その繊細な味にポン酢しょうゆがほどよく絡んで、うまみが倍加するといわれ、美食家の北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)も賞味しています。
 現在は下関でも一枚引きが主流です。身欠きフグを下関から汽車で送ると、東京に着いたころほどよく身が締まり、一度で薄く引けたことから、下関でも一日熟成させて一枚引きにするようになったといいます。熟成させたフグには独特のうまみが生まれますが、大きさや時期などによってどれぐらい熟成させ、どう料理すればうまみを最も引き出せるかは異なります。それを見極めるのが、料理人の腕の見せどころなのです。

※身欠き
毒を持つ内臓などを取り除いた状態のこと。

取材協力/下関ふく連盟事務局長 岡田 薫治(おかだ くんじ)氏


【第3回】「フグ漁師のまち・萩」とマフグ・シロサバフグ

マフグ[写真提供:萩しーまーと]
マフグ[写真提供:萩しーまーと]
 フグ延縄漁業の県内最大の拠点は萩。その萩の漁師の間で、鮮度の良さはもちろん、旬の時期や料理方法を選べば、トラフグにも匹敵する味といわれ、しかも手ごろな値段がうれしいフグがあります。
 その1つが「マフグ」です。旬の時期は、産卵期を控えて白子(精巣)が大きくなる2月から4月。お薦めの料理はフグ刺しやフグちり、から揚げなど。マフグの身はトラフグに比べて水分がやや多いため、特にから揚げにすると、フワッとした中にほどよいジューシーさと凝縮されたうまみが味わえて最高なのだとか。白子は天ぷらやみそ汁に。サクっとした天ぷらの衣の中からとろけるように広がる白子のうまさは極上です。萩では今、そんなマフグのおいしさをもっと知ってもらおうとPRに力を入れていて、3月に「道の駅 萩しーまーと」周辺で「萩マフグ祭り」を開催する予定です。
 「シロサバフグ」も近年人気が高まっています。身はトラフグより少し柔らかく、6月から12月までその味を楽しめますが、最も旬の時期は秋。たたき、から揚げ、フグちりなどがお薦めです。
 また、萩には「干しフグ」を使ったお正月の郷土料理があります。干しフグは、フグを軒下などに吊るしてカチカチになるまで干したもの。これを米のとぎ汁に浸し、朝夕とぎ汁を替えながら数日間かけて戻した後、一口大に切って番茶で30分ほどゆで、だし汁・酒・しょうゆ・みりんで煮つめて仕上げます。いわば棒鱈(ぼうだら)のフグ版で、最近では干しフグ自体があまり作られなくなっていましたが、数年前から人気が復活。12月になるとシロサバフグの干しフグが店頭で見られるようになり、懐かしいと話題になっています。
 あなたもこの冬、福を招くフグを、本場・山口県でタラフク堪能してみませんか。

取材協力/「道の駅 萩しーまーと」営業企画室 篠原 充(しのはら みつる)氏


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 逸It'sやまぐち Vol.3

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