元気になるメールマガジン!! 山口きらめーる
 
目次 2006年3月24日[Vol.90]号 山口県広報広聴課
県外広報誌 逸 It's やまぐち山口県広報誌 ふれあい山口やまぐち県民電子会議室 コミュニティー維新

おもしろ山口学

山口の火山 著/永尾隆志(山口大学理学部助教授)

前編『萩の火山は活火山』

萩六島の地形と年代
※クリックすると拡大します。
萩六島の地形と年代(クリックすると拡大します。)
  萩市、阿武(あぶ)町、阿東(あとう)町には、40以上の小さな火山が分布し、「阿武火山群」と呼ばれています。この火山群は、約200万年前から約1万年前に噴火したもので活火山に指定されています。
 さて、阿武火山群でもっとも若い火山、萩市・笠山(かさやま)の山頂展望台から見える平らな島々は、萩六島と呼ばれています。これらの島々の1つひとつは異なった時代に噴火した火山です。このうち、大島(おおしま)、櫃島(ひつしま)、肥島(ひしま)、尾島(おしま)、相島(あいしま)は安山岩で、羽島(はじま)は玄武岩でできています。一般的に、安山岩は粘り気が大きいので火山の形はおまんじゅうのようなドーム状(溶岩ドーム)になり、玄武岩はマグマの粘り気が小さいので台地状(溶岩台地)になります。しかし,この地域の安山岩は溶岩台地をつくっています。これはとても珍しいことですが、その理由の1つとして安山岩マグマの中に粘り気を小さくする成分が含まれていた可能性が考えられます。さらに、それぞれの火山が噴火した当時の海面は今よりずっと低く、火山噴火は陸上で起こりました。そして、その後の海面の上昇によって火山は島になりました。このようなことが何回も繰り返されて、現在のような美しい景色がつくられたのです。
日本海に浮かぶ台地状の火山
(左から相島、羽島、尾島、肥島)
左から相島、羽島、尾島、肥島
(左から櫃島、大島)
左から櫃島、大島

 

笠山(1万年前に噴火した火山)
笠山(1万年前に噴火した火山)

関連リンク
 

後編『阿武火山群のふしぎ』

宇田島(阿武町)
宇田島(阿武町)
  阿武町の沖に宇田島(うたじま)という小さな島があります。この島は約30万年前に陸上で噴火した火山です。この火山を作っている安山岩の中には、地下約30kmから約10kmの深さにある岩石がたくさん含まれています。地球の深いところを調べるためには、地球に穴を掘るのが一番ですが、今のところ地下約30kmまでの穴を掘ることはできません。宇田島は、日本で数カ所しかない地球の内部を調べることができる重要な場所なのです。
 また、今から約30万年前、阿武町の伊良尾(いらお)山から噴出した玄武岩の溶岩は、昔の田万川(たまがわ)に沿って萩市田万川町の上小川(かみおがわ)地区まで流れ下りました。溶岩の長さは15kmにも及び富士山の溶岩にもひけをとらない日本でもっとも長い溶岩の1つです。
 また、萩市須佐町の畳ケ淵(たたみがふち)、田万川町の龍鱗郷(りゅうりんきょう)では、溶岩が冷えるときに縮んでできた規則正しい六角柱状の割れ目(柱状節理(ちゅうじょうせつり))を見ることができます。
 さらに、山口県には青野(あおの)火山群という約130万年前から約10万年前に噴火した火山があり、25の安山岩の溶岩ドームでできています。この火山群は、島根県津和野町から山口県阿東町、山口市を通り周南市まで帯状につながっています。ちなみに、阿武火山群を作ったマグマは地下深部の岩石が溶けてできましたが、青野火山群のマグマは山口県の下に沈みこんでいる海洋プレートが溶けてできたものです。

 

龍鱗郷の柱状節理(萩市田万川町)
龍鱗郷の柱状節理(萩市田万川町)
青野火山群の溶岩ドーム(阿東町)
青野火山群の溶岩ドーム(阿東町)