元気になるメールマガジン!! 山口きらめーる
 
目次 2006年2月24日[Vol.88]号 山口県広報広聴課
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おもしろ山口学

秋吉台地下水系と暗闇の生き物たち 著/配川武彦(秋吉台科学博物館館長)

前編『秋吉台地下水系』

帰水にできた一時湖
帰水にできた一時湖
 秋吉台はカルストと呼ばれるおもしろい地形で、地表にはまるで羊の群れのよ うに見えるたくさんの白い石の柱や、丸いクレーターのようなくぼ地があります。 広い広い秋吉台ですが、川と呼べるものはなく、1カ所、たった20メートルの間 に小川が流れているだけです。そこは深さが200メートル近くある深いくぼ地の 底で、帰水(かえりみず)と呼ばれています。大雨が降ると、この帰水の底には水がどんど んたまり深い池になりますが、雨がやむとすぐになくなるので一時湖と呼ばれて います。
 この秋吉台が昨年、ラムサール条約に登録されました。ラムサール条約は本来、 水の自然と生物の環境を守るための国際条約で、湿地や池などが中心です。なの に、なぜ地表に水がほとんどない秋吉台が登録されたのだと思いますか?
 実は、秋吉台の地下にはたくさんの川が隠されていて、その地下水系がラム サール条約の登録対象となったのです。
 秋吉台の地下を流れる地下水は、石灰岩を溶かし続けて洞くつを成長させてい ます。これらの洞くつには横に伸びる横穴と、まっすぐ落ちる竪穴があります。 現在、秋吉台には450個近くの洞窟が発見されており、今でも盛んに洞窟探検が 行われていて、新しい洞窟も発見されています。

 

地獄台
地獄台
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後編『暗闇の生き物たち』

色素のなくなったエビ
色素のなくなったエビ
 秋吉台の洞くつは真っ暗闇の地底の世界で、生き物は全く住めない環境のようにみえます。しかし、そこは暗闇の環境に適応した特殊な生き物の世界です。小さい水溜りの中をライトで照らすと、白い体で眼のなくなった小さいエビが泳いでいます。洞くつの壁には、体の中まで見えるような半透明の小さい巻貝がいる事があります。この貝はもともと、水中で生活していたのですが、洞くつの世界では水中も空気中もほとんど同じ環境なので、こんな特殊な進化をしました。ですから、最初に発見された時にはどんな貝の仲間かもよく分からず、大騒ぎとなりました。
 洞くつの中には他にもいろいろな生き物がいますが、共通した身体の特徴は、目が退化して全体的に色素がなくなって白っぽい色をしていることです。また、食べ物が少ないので数ミリメートルサイズのものが大半です。数センチの大きさになるヤスデの仲間は洞くつでは巨人といえます。
 洞くつの世界を完全に支配し飛び回っているのはコウモリです。のどから出す超音波で周囲の状況を把握できるため、暗闇の狭い空間でも自由自在に飛び回ることができ、洞くつの食物連鎖の頂点に立つ生き物です。秋吉台の洞くつをねぐらにするコウモリは6種類で、全体で約2万頭いると推定されています。コウモリはだいたい同じ場所で生活するので下には大量のふんがたまりグアノと呼ばれています。新しいグアノの上には目のない小さい虫がたくさんいて、コウモリのふんを食料にしています。
 洞くつは特殊な進化をしてきた生き物たちの楽園となっているのです。

 

秋芳洞百枚皿
秋芳洞百枚皿