元気になるメールマガジン!! 山口きらめーる
 
目次 2006年1月27日[Vol.86]号 山口県広報広聴課
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おもしろ山口学

城下町・萩-土塀・石垣のひみつ再発見の巻- 著/清水満幸(萩博物館学芸員)

前編『発見への第一歩』

こども探検隊
 一昨年、萩開府400年を記念して開館した萩博物館では、開館準備の段階から、市民の皆さんと協働で萩再発見を進めるさまざまな活動を行ってきました。
 その一つに、小学生と実施したワークショップ「こども探検隊」があります。これは、博物館が整備される萩市堀内(ほりうち)地区を、こども探検隊員とともに、さまざまな角度から観察・記録・資料化しようとするものでした。
 この中で、30年前に撮影された堀内地区の町並み写真を持って地区内を歩き、撮影場所を探し出すという活動を行いました。同じ角度からインスタントカメラで、現在の町並みを撮影記録していくうちに、そこに多く残る土塀や石垣が、昔と変わっていないということに気付きました。興味は、石垣に用いられている基礎石の産地や分布状況にも広がり、急きょ、調査を行いました。成果を地図にまとめてみると、基礎石には、近くの指月山(しづきやま)から切り出された白っぽい花こう岩と笠山(かさやま)の黒っぽい安山岩の2種類があり、その分布状況には特徴があることが分かりました。
 そして、試みに江戸時代の城下町絵図に重ねてみたところ、当時の主要な街路や、屋敷地の表側と裏側、屋敷地の境界などが鮮やかに浮かび上がってきたのです。

 

基礎石について学ぶ
基礎石について学ぶ
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後編『身近に残された歴史の鍵』

こども探検隊
 江戸時代、堀内地区のメインストリートは本町(ほんちょう)と呼ばれていました。この本町に面した屋敷地では、通りに面した部分、つまり人目につきやすい屋敷地の表に花こう岩が多く用いられていることが分かりました。また、堀内地区の周縁部や、城内への入口となる3カ所の門の近くと、それに続く街路に面した部分にも多く用いられていました。これに対して、安山岩は、屋敷地の側面や裏側に当たる人目につきにくい部分に多く用いられていました。
 花こう岩の基礎石は、安山岩の基礎石に比べて大型で、採石や運搬、加工が難しく経費もかさむもの。これまでの通説では、基礎石の分布の差は、使用時期の違い、すなわち花こう岩は古い時代、安山岩は新しい時代に採石・加工されたものと考えられていましたが、これらのことから、基礎石の分布に差が見られるのは、その家の家格や経済状態によるものではないかと子どもたちは推測したのです。
 現在、大人たちが検証を始めています。
 土塀や石垣という日ごろ何気なく見ている物の中に、実は、萩の歴史を読み解く鍵が潜んでいるということを気付かせてくれました。萩のまちは、足元に江戸時代が見えるまちであり、身近に本物の歴史に触れることができるまちなのです。

 

石垣を調査!
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