平成17年2月25日号(HTML版)VOL.64
山口県広報広聴課

県庁担当者にここが聞きたい

用地課・江藤課長 「大事な財産を売っていただくのですから、相手の方と信頼関係を築くことが大事」と、第一線で交渉する職員の苦労を語るのは、山口県土木建築部 用地課の江藤信正課長。自らも、土地の権利者との契約に、苦労の末ようやくこぎつけた体験をもつ江藤課長に、用地課の仕事について聞きました。


Q. 用地課ではどんな仕事をしているのですか?

Answer
 県では、住み良い快適なまちづくりを進めるために、道路・河川・港湾・ダム・公園などの社会資本の整備を行っていますが、そうした公共事業に必要な土地の確保などのために、土地の権利者とお話しして適正な補償金額を納得していただいた上で任意契約により土地を取得しています。
 実際の交渉は県の土木(建築)事務所等の担当職員が行いますが、皆さんの大切な財産を提供していただくわけですから、交渉にあたっては十分ご理解いただけるよう説明を尽くし誠意を持って対応しています。一方、用地課では公共事業に伴う損失が適切に補償されているかどうかといった総括的な審査のほか、交渉が円滑に行われるよう、担当職員への指導・助言も行っています。
 住み慣れた家を移転していただく場合などは大きな不安や戸惑いが伴うものですが、こうした皆さんのご理解、ご協力により公共事業は支えられています。


Q. 大事な財産にかかわることですから交渉がまとまらない場合もあると思いますが、そのようなときはどうするのですか?

Answer
 日本国憲法第29条に国民の権利として「財産権は、これを侵してはならない」という「私有財産権の保護」の規定がありますが、同時に「私有財産は、正当な補償の下に公共のために用いることができる」とも規定されています。そこで、土地の権利者と、どうしても契約が合意に至らない場合には、どちらの言い分に正当性があるのか、公共の利益の増進と私有財産の調整について、中立・公平な立場で判断するために「収用委員会」という知事から独立した機関を設置しています。
 収用委員会は準司法的機関で、委員7名と予備委員2名で構成されています。委員は法律・経済・行政の専門家の中から選出され、県議会の同意を得て知事によって任命されることが、法律で規定されています。
 任意の契約に至らない場合は、この収用委員会が、公正中立な立場で事業の施行者と土地の権利者の主張を聴いて決める、最終的な判断に委ねることになります。


Q. 契約の合意に至るには、補償の内容も重要なポイントだと思いますが…。

Answer
 損失の補償は、原則として金銭で補償することになっています。補償額は、国の定めた積算基準に基づいて作成した県の「損失補償基準」などにより、「適正な補償額」を算定しています。補償の内容には土地代金、建物などの移転・撤去費用、営業補償、漁業補償、借家人補償など、とても幅広い内容となっています。
 例えば、土地の価格についていえば、その土地の近くの一般的な土地取引価格を参考に、買収する土地の条件を比較検討して決定する、取引事例比較法という方法などを用いて評価を行っています。
 また、土木(建築)事務所長等が評価会を開催して、市町村の意見を聞いたり、不動産鑑定士による「不動産鑑定評価」を参考とした検証などを行って、適正な土地価格を算出しています。その価格をもって、担当職員がご説明に伺い、土地の権利者の方にご理解いただいているところです。


Q. 話はかわりますが、この春から「法定外国有財産」の取り扱いが変わると聞いたのですが…?

Answer
 はい。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、皆さんのご自宅の周辺にも人が歩ける程度の細い道(里道)や小さな水路などがあると思います。実は、これらは国が所有する財産(国有財産)の場合が多く、占用使用等に際しては許可などが必要になります。
 これらの土地は毛細血管のように各所に存在するため、これまで国に代わって県と市町村で管理してきました。しかし、平成12年度にいわゆる「地方分権一括法」が制定され、そうした土地について、国から市町村への財産の譲与が進められてきました。その最終期限が、今年3月31日となっているということです。
 このため、里道・水路などは市町村の財産となり、境界確認・使用許可・工作物の設置・修繕・払い下げなど管理全般についての窓口は、4月1日から市町村の方で行うようになります。
 皆さんの近くにも、道幅のとても狭い里道や小さな水路があるかもしれませんね。ちなみに、里道などは公図上(※)赤色で、水路などは青色で表示されています。そうした里道や水路が、これからは国ではなく、一番身近な市町村の財産として管理されるようになるというわけです。

※公図… 法務局や市町村役場などに備えてある土地の図面