平成16年5月28日号(HTML版)VOL.46
山口県広報広聴課

 
 
 
砂防課・因幡課長  今から30年以上前の昭和47年は、梅雨前線の豪雨で県下全域に大きな土砂災害が起きた年でした。「私が県庁に入ったのは、その翌年のこと。復旧が大変だったこと、忘れられませんね」と話す山口県土木部建築部 砂防課の因幡雄起課長に、土砂災害について聞きました。

 
 
Q. 山口県にはパラボラアンテナがたくさん立っていますよね。地震や台風などの災害が少ないというイメージが山口県にはありますが、土砂災害については実際どうなのでしょうか?

Answer
 昨年についていえば、小規模なものを含め、県内90数カ所でがけ崩れが発生していて、これは全国で4番目に多い件数だったんです。近年で一番大きな土砂災害というと、平成5年の集中豪雨が、まだ記憶に新しいのでは?あのときは防府市内の国道2号が土砂で埋まり、県内で3名の方が亡くなられています。
 土砂災害の危険箇所は平成15年3月時点の調査で、家屋のあるところだけでも、県内に約2万カ所あることが分かっています。この数字は実は全国で3番目の多さなんですよ。山口県は80%以上が山地・丘陵地で、地形的・土質的にも崩れやすい性質をもった県なんです。
 県では危険箇所の整備を進めていますが、土地開発が進むにつれて危険箇所も増えていて、整備が追い付かないのが現状です。ですから、人命への影響が出ないようにするために、まず住民の皆さんご自身でもお住まいの地域について自覚していただき、万一のときには早めに逃げられる体制をとっていただきたいのです。「ここは父祖の代から災害が起きたことはないから」と言われる方もおられますが、ある日突然、災害が起きるかもしれません。自覚することは、大事なことです。

 

 
Q. 危険を回避するには早めの避難が大事だと思いますが、どんな前ぶれがあると危険なのでしょうか?

Answer
 土砂災害には「がれ崩れ・地すべり・土石流」の3つがあり、一番恐いのが熊本県水俣市で昨年発生したような土石流です。その前兆としては、山鳴りや立ち木の裂ける音、石のぶつかり合う音が聞こえたり、雨が降り続いているのに川の水位が下がってきたりといったことが挙げられます。土石流は、石と石がぶつかりあって火花が出るほどのエネルギーを持ち、そのスピードは時速数十キロにも及ぶものです。逃げるときは、川の下流ではなく、横方向に逃げてください。
 がけ崩れの場合は、がけからの水が濁ったり、がけに亀裂が入ったり、小石がバラバラと落ちてきたりすると、その前兆です。
 地すべりは、地面にひび割れができたり、斜面から水が吹き出したりすると、その前兆だといえます。
 自分の住んでいる地域はどうなのか、どこにどういう避難経路で逃げるか、普段から念頭に置いておけば、いざというときに慌てずに行動できます。

 

 
Q. それでは、我が家の地域は大丈夫か、万一の場合どこに避難したら良いのかなど必要な情報を得るにはどうしたらいいでしょうか?

Answer
危険箇所マップ 山口県では、「危険箇所マップ」を作成し、各土木事務所・役場・県内117カ所の主要郵便局で公表しています。お住まいの地区の危険箇所の有無、万一の場合の避難場所、避難経路などを確認することができます。
 また、今年度から5カ年計画で、危険箇所の約30万世帯を対象に、危険箇所マップと「土砂災害についてのお知らせ」というチラシを添えて、ダイレクトメールを送ることに力を入れていきますので、これについてもぜひご留意ください。
 さらに、これは将来的なお話しですが、「これから何時間後に、がけ崩れが起きる可能性があります」という「土砂災害警戒避難情報」をお知らせするシステムを山口大学と共同して開発中です。この取り組みは全国でもおそらく初めてだと思います。いずれはこのシステム情報をご家庭からインターネットで見られるようにしたいと考えています。

 

 
Q. ところで大きな土砂災害をきっかけに「土砂災害防止法」という法律ができたそうですね。山口県でも取り組みが進められると聞きましたが。

Answer
 平成11年6月、広島県で発生し、24名の方が亡くなられた土砂災害が契機となってできた法律で、平成13年4月から施行されています。
 危険箇所の整備といったハード面がなかなか追い付かない中、この法律はソフト面、つまり住民の皆さんに着目した法律なんです。
 「危険箇所をつくらないようにしましょう」というのが、この法律の趣旨だといえます。例えば、「特別警戒区域」には、開発に際して非常に厳しい制限を設けたり、頑丈な家を作るように厳しい基準を義務づけたり、宅地建物取引にあたっては土地についての説明義務、避難勧告が出た際の支援措置などが定められています。
 山口県でもこの法律に基づく区域の指定について検討するための知事の諮問機関が4月に発足し、今後この取り組みに力を入れていきます。