平成15年11月28日号(HTML版)VOL.34
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おもしろ山口学

リレー随筆  「山口県の山発見」 著/中島篤巳(登山家・医学博士)

第1回『山口県の山』(全3回)

 登山道は人が一人通れる幅の踏跡がちょうどよい。山口県内はそれが多い。さらにゴミ、火、動植物採集などで山を荒らす人種は極めて少なく、したがって山を荒らしている人が浮いてしまうほど珍しい。おかげで県外に多い入山禁止の立て札も、私たちの県では見られない。山の所有者の好意は絶対裏切らない、それが登山者の唯一の資格です。
 里山はとても暖かく、中部山岳以上に面白い。まず山口県の山の個性を他の中国4県との違いであげてみよう。

1) 登れる山が多く、他県のように特定の山への登山者の集中は少ない。また、山を荒らさないように新ルート開発に挑む人も他県より多く、ルートの数も増えつつある。
2) 山頂まで1時間前後で登れる山が多く、生活習慣病などの健康管理によい。
3) 石垣や隠田、道標、石仏などの生活跡が多く、発見がある。

 登山は明るい植林の谷を詰め、林床がササとなり、クヌギなどの明るい尾根に出て、標高が約1,000m以上ならブナの森から山頂へ、というのが普通の風景。ただ新ルートが開かれると旧ルートが消えることもあり、「道に自信が無くなったら即撤退」で行きましょう。
 緊急課題は「現在あるルートの確保」と「クマの生活圏や少ない高地の湿地の保護」です。

※里山…人里近くにあって人々の生活と結びついた山・森林
 
 
第2回『鳥ノ子山(とりのこやま)(美祢市)~消えてゆく故郷の思い出をたどって~』
(全3回)
鳥ノ子山山頂
鳥ノ子山山頂
25,000図=伊佐 歩程=バス停より山頂まで約80分
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2万5000図= 伊佐
歩程= バス停より山頂まで
約80分
 故郷が消えてゆく。そんな気がしたことありませんか? このルートがまさにそれ。ハイカーの入山で草が踏まれ、道が再生して再び気軽に自然や故郷の思い出と接することが出来るようになりますので、ぜひ登って下さい。
 伝説に「山陰の悪魔八つ頭のヤマタノオロチがスサノオノミコトに成敗され、頭七つが切られた。オロチは這這の体で美祢市の厳昌寺山(げんしょうじやま)中腹にある蛇ノ池(じゃのいけ)に逃げ込んだが、ミコトの追撃にあい、ついに美祢市の叔母ケ河内(おばがごうち)で最後の頭を切られた」という(『防長風土注進案』)。面白いことに、叔母ケ河内の古老の「鳥ノ子山腹にある後山(うしろやま)地区の神社脇の古木に大蛇がいた」という話との一致点があり、鳥ノ子山はヤマタノオロチ終焉の地!というロマンに満ちた山ということになります。
 登山は県道33号バス停叔母ケ河内からJR美祢線を横断して直進600mで車回転場につき、さらに20mの分岐は右下の道をとる。草が少しかぶり、荒れ加減だが要所の古い目印をたどる。伝説の後山地区跡は山腹にあり、石組みが集中しているのですぐわかる。山頂へはそのまま踏み跡をたどり林道に出れば道標がある。展望よく狼煙場(のろしば)の跡である。
 
 
第3回 琴石山(こといしやま)(標高546m)三ケ岳(みつがたけ)(標高487m)大師山(だいしやま)(標高129m)の大縦走』(全3回)
三ケ岳から振り返ると琴石山(右奥)が遠くに見える
三ケ岳から振り返ると琴石山(右奥)が遠くに見える
地図
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 眼下に瀬戸の急流、そして少し遠くに防予諸島の景観を楽しみながら周防アルプスの脊梁(せきりょう)を歩く。距離にしてちょうど一駅区間、文字通りの大縦走である。
 JR柳井港駅で下車し、国道188号を200m下り、「琴石山登山道」の大きな道標に従って踏み切りを渡る。眼前にデンと座っているのが琴石山だ。主路を15分で登山口の分岐にさしかかる。道標があり、左の未舗装の道を5分で支尾根を切る。ここで右に尾根道をとれば、あとは一本道だ。これからは少々きついので、ゆっくり登ろう。展望はないが明るい道でうれしい。めざす琴石山山頂まで、あと50分。山頂直下の肩の所で大展望となり、休憩によい。最初にホッとする所である。右にとれば山頂だ。山頂は伊賀地城跡(事能要害)とされ、360度の大展望が得られる。遠く西中国山地や四国の脊梁が次の山へと誘う。
 これからは展望もよく、長丁場だからさきを急ごう。先ほどの肩まで戻り、右の道を三ケ岳に向かう。25分で鞍部(あんぶ)車道を横切り、次いで三ケ岳への林道を200m歩き、右上に上る三ケ岳へ山道に入る。あと15分で三ケ岳だ。三ケ岳は三峰からなり、それぞれに石祠(せきし)がある信仰の山。電波中継所がある東岳を越え、中岳との鞍部に石祠と御神体の巨岩。中岳を越えると三ケ岳の主峰・西岳である。いずれも展望はよい。
 西岳から一気に林道まで下り、右に少しの尾根筋の道を下る。海の展望が楽しい。西岳から60分で大師山・金剛寺だ。後は道を尋ねながら30分でJR柳井駅につく。

※脊梁(せきりょう)・・・背骨。脊柱。せすじ。
※鞍部(あんぶ)・・・山の尾根のくぼんでいる所。