平成15年11月14日号(HTML版)VOL.33
山口県ホームページ

 
おもしろ山口学

リレー随筆  「山口県の山発見」 著/中島篤巳(登山家・医学博士)

第1回『山口県の山』(全3回)

 登山道は人が一人通れる幅の踏跡がちょうどよい。山口県内はそれが多い。さらにゴミ、火、動植物採集などで山を荒らす人種は極めて少なく、したがって山を荒らしている人が浮いてしまうほど珍しい。おかげで県外に多い入山禁止の立て札も、私たちの県では見られない。山の所有者の好意は絶対裏切らない、それが登山者の唯一の資格です。
 里山はとても暖かく、中部山岳以上に面白い。まず山口県の山の個性を他の中国4県との違いであげてみよう。

1) 登れる山が多く、他県のように特定の山への登山者の集中は少ない。また、山を荒らさないように新ルート開発に挑む人も他県より多く、ルートの数も増えつつある。
2) 山頂まで1時間前後で登れる山が多く、生活習慣病などの健康管理によい。
3) 石垣や隠田、道標、石仏などの生活跡が多く、発見がある。

 登山は明るい植林の谷を詰め、林床がササとなり、クヌギなどの明るい尾根に出て、標高が約1,000m以上ならブナの森から山頂へ、というのが普通の風景。ただ新ルートが開かれると旧ルートが消えることもあり、「道に自信が無くなったら即撤退」で行きましょう。
 緊急課題は「現在あるルートの確保」と「クマの生活圏や少ない高地の湿地の保護」です。

※里山…人里近くにあって人々の生活と結びついた山・森林
 
 
第2回『鳥ノ子山(とりのこやま)(美祢市)~消えてゆく故郷の思い出をたどって~』
(全3回)
鳥ノ子山山頂
鳥ノ子山山頂
25,000図=伊佐 歩程=バス停より山頂まで約80分
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2万5000図= 伊佐
歩程= バス停より山頂まで
約80分
 故郷が消えてゆく。そんな気がしたことありませんか? このルートがまさにそれ。ハイカーの入山で草が踏まれ、道が再生して再び気軽に自然や故郷の思い出と接することが出来るようになりますので、ぜひ登って下さい。
 伝説に「山陰の悪魔八つ頭のヤマタノオロチがスサノオノミコトに成敗され、頭七つが切られた。オロチは這這の体で美祢市の厳昌寺山(げんしょうじやま)中腹にある蛇ノ池(じゃのいけ)に逃げ込んだが、ミコトの追撃にあい、ついに美祢市の叔母ケ河内(おばがごうち)で最後の頭を切られた」という(『防長風土注進案』)。面白いことに、叔母ケ河内の古老の「鳥ノ子山腹にある後山(うしろやま)地区の神社脇の古木に大蛇がいた」という話との一致点があり、鳥ノ子山はヤマタノオロチ終焉の地!というロマンに満ちた山ということになります。
 登山は県道33号バス停叔母ケ河内からJR美祢線を横断して直進600mで車回転場につき、さらに20mの分岐は右下の道をとる。草が少しかぶり、荒れ加減だが要所の古い目印をたどる。伝説の後山地区跡は山腹にあり、石組みが集中しているのですぐわかる。山頂へはそのまま踏み跡をたどり林道に出れば道標がある。展望よく狼煙場(のろしば)の跡である。